【切り絵ランプシェード】Progress、Retrograde 作品紹介 | 人気のアート作品作りを京都で体験できる習い事として人気を集めています

切り絵ランプシェード作品「Progress」「Retrograde」の作品紹介です。このページでは、この作品におけるストーリーを綴っています。ぜひ作品と合わせてお楽しみ頂ければと思います。

Progress

私たちは快適な生活環境を追い求め、技術革新を行っていくことで、かつて人類が到達しえなかった次元の壁を幾つも超えてきた。

すべては生き続けるため。

利用するエネルギー資源も時代とともに移り変わる。 エネルギー源が石炭から石油へと変わったのも今や太古の話。

人類は新たなエネルギー資源を開拓したのである。 それが「プロミネント」。

南大西洋、海底に突如として現れた「プロミネンスホール」から生まれる燃焼性の高いガスである。

太陽コロナ低部に浮かぶプロミネンスに形状が似ていることから、その名がつけられた。

地球上の化石燃料が枯渇し始め、エネルギー問題に直面する中、この新たなエネルギー資源の出現は、世界に激震をもたらしたのである。

技術革新は進んだ一方で、各国でこのプロミネントをめぐる不正売買、利用権を得るための事実上の争奪戦がプロミネンスホール近隣の発展途上国を中心に勃発している。

僕はこのプロミネントの出現で莫大な富と飛躍的なテクノロジーを手にした国にいる。 プロミネントは、エネルギー統合効率が非常に高く、その統合効率は99%。規格外の性能だが、その正体は出現から数十年経っても未だ解明されていない。

僕は世界有数のプロミネント専門の研究機関の研究員として日々、この非科学的物質の調査に明け暮れている。

僕は物心ついたときから、このプロミネントの存在を知り、いつしか自らの手でその正体を解明したいと思うようになっていた。 新資源を利用した研究開発を果たし、文明の進化による新たな生活の営みを夢見て…。

Retrograde

南大西洋の海底にできたプロミネンスホールは文字通り世界の政治、経済、社会に風穴を開けた。近隣諸国の経済格差は激しくなり、資源奪い合いによる紛争・内乱は激化。

「力による統治社会」の世へ移り変わりつつある。時代が逆行しているのだろうか？

  プロミネントの出現によりこの世界はおかしくなった。

化石燃料が枯渇している世界で、プロミネントの存在はどんなに裕福な国であろうとも、のどから手が出るほどほしいものなのである。

プロミネントを利用するため、手段を選ばないテロ紛い集団も世界中に蔓延る。私たちは、それをレイダーと呼んでいる。

プロミネントによるエネルギー開発で街の発展はおろか、レイダーによる新兵器の爆撃により街を一つ失った都市ももう珍しくない。

私の父であるこの国の長は、そのレイダーの襲撃を見越し、標的となる街を手放し、安全な森の奥へ安息地として巨大な集落を作ったのである。

ここならレイダーも追ってこない。

電気は一切使用しない、プロミネントとは無縁の場所だからだ。

だが、我らがプロミネントも使用せずともレイダーは侵略を止めることはないだろう。戦いから完全に身を引くことはできないのだ。私はこの集落の長だ。父の残してくれたこの地を死んでも守る。

戦争のない世界、平和であれば他は何も望まない。たわいもない生活の営みを大切にしてこそ、本当の幸せを感じれるのではないか、私はそう思う。

『Progress』　100×100×200　               　　　

 素材：濃黒切り絵用紙、片面艶紙、セロファン、アクリル、シナ板、Hue Bluetooth、etc

『Retrograde』　100×100×200　               　　　   

 素材：濃黒切り絵用紙、片面艶紙、手漉き和紙、板締め和紙、アクリル、シナ板、 Hue Bluetooth、etc